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コラム

面白い

日本の神話において天岩戸に天照大御神(アマテラスオオカミ)がお隠れになり、世界は真っ暗闇に包まれ、邪神によって災いが至るところで起きたという神話があります。この状況をなんとか改善して災いのない平和で明るい世の中にするためには、天岩戸から天照大御神(アマテラスオオカミ)にお出ましいただかなければならない。そこで、知恵の神である思兼神(オモイカネノカミ)に相談して名案をいただいたのです。

その作戦とは、天岩戸の前で芸能の神である天宇受女命(アメノウズメノミコト)が乳房をさらし、着ているものを腰よりも下まで押し下げ踊らせたのです。暗闇になり嘆いているはずの神々が笑い騒ぎ高天原がどよめくのを気になさって、少しだけ天岩戸を開き「どうして八百万の神々は笑っているのか」と尋ねました。天宇受女命(アメノウズメノミコト)は、「あなたより尊い神がいらっしゃるので、みんな喜び笑い舞い踊るのです。」と答えました。
向けられた鏡を見て、「自分と同じ太陽の神がいたなんて」さらに身を乗り出した瞬間、天岩戸の脇で待機していた力の神である天手力男神(タジカラヲノミコト)がその手を取って引きずり出したのです。岩戸開きによって天照大御神(アマテラスオオミカミ)が再びお姿を現され、世界が再び明るくなるというお話です。
“面白”という言葉が平安時代に貴族である斎部(いんべの)広(ひろ)成(なり)によって編纂された『古語(こご)拾遺(しゅうい)』(807)に記されています。

「あはれ あな 於(お)茂(も)志(し)呂(ろ) あなたのし、あなさやけ をけ」
(現代語訳)
天の岩戸の前に集うたくさんの神々様はお互いに顔を見合わせしました。するとその面(=オモ=顔)が明るく白くなっていました。嬉しくなって手を伸ばして歌って舞いました。

“面白い”とは、天の岩戸から天照大御神(アマテラスオオカミ)にお出ましになり、太陽の御光が輝き神々様の面(お顔)が白くなったところから、「面白い」という言葉の語源とされています。白とは、色を意味するものではなく「はっきりしている」という意味です。
まっ暗闇の世界から太陽の御光によって面(顔)が白く(はっきり)と見える世界になったのです。そこには、「笑い」により運が開いていくことを教えているのです。

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